注射針の跡が消えない不感症のぼくによく効く薬は
半分が優しさでできていて
残る半分は幼い頃の青く透き通ったくにへの郷愁でできている。

この偏頭痛を中心に地球は回っていると信じていた頃
あなたの疲れ切った眼にはそれと同じ色の海が確かに揺れていた。

(あの世界は、今どこを漂っているのか)